弁慶さん、景時さんと一緒に遠乗りした後、何故か九郎さんとも行くことになった。


特等席


 「急に遠乗りに行こうだなんて。 あ、分かった!やっぱり仲間はずれにされたのが悔しいんでしょ?」

前にみんなで嵐山に行った時も、お仕事で九郎さんだけ来れなくてしょんぼりしてたもんね。

 「いや、別に…」
 「? 違うんですか?
  ……ははぁーん、私が弁慶さんたちと出かけたから、もしかしてヤキモチとか!」
 「そ、そんなんじゃないっ!! 俺も遠乗りに行きたい気分になっただけだ!」

九郎さんはすぐに否定したけど、顔がみるみる真っ赤になっていく。
彼はあの黒い軍師と違って、すぐ表情に出る。

冗談で言ったつもりなのに、まさか図星!?
えー!えぇーっ!?あの九郎さんが妬いてくれたなんて、凄く嬉しいんですけど!
こうなったら、今日はこれ以上からかったりしないで、機嫌を損ねないようにしなくっちゃ。

 「ふふ、分かりました、そういうことにしておいてあげます」
 「あ、あぁ……しておいてくれ」

そんなわけで、立て続けに遠乗りに行くことになったんだけど、実は私にはささやかな野望があるのだ。

 「あのね、私も薄雪に乗ってみたい! だから、九郎さんはこの子に乗って!」

そう言いながら、私がいつもお世話になってる馬をポンっと軽く叩く。
だって、好きな人が乗ってる馬だもん。私も乗ってみたいじゃない。
弁慶さんが九郎さんの馬に乗ってきたのを見て、私も……と、実はひそかに機会を狙っていたのだ。
まさかこんなに早くチャンスが巡ってくるとは思わなかったけど。

 「だめだ」

って、即答!?
武士にとって馬は大切なものだって聞いたから、無茶なお願いしてるのは重々承知だけど、可愛い許婚(自分で言うのもなんだけど)のために、ちょっとくらい考えてくれたっていいじゃない!

 「えーっ!どうして!? 弁慶さんには貸してあげたくせにー!!」
 「あいつは特別だ」
 「……っ」

たまにこの2人の仲に入っていけなくて、悔しい思いをする。
弁慶さんといい頼朝といい、どうして私のライバルは野郎ばかりなのか。

 「何よ……昔からの仲だからって!」
 「なんだ、お前弁慶に妬いてるのか?」
 「妬いちゃ悪いんですかっ!?」

もう開き直ってやる!
ふーんだ!と、そっぽを向いた私の耳に聞こえてきたのは、九郎さんの大きなため息。
子供っぽいこと言ってるなーって自分でも分かってるけど。
でも。
何よぅ……そんなに呆れなくてもいいじゃない。
あ、ヤバイ涙出そう。

 「馬鹿、俺がだめだと言ったのは薄雪に乗るなという意味ではない。
  俺がお前の馬に乗るのはだめだと言ったんだ」

……は?
意味が分からないんですけど。

九郎さんの意味不明な発言に一瞬にして涙も引っ込んじゃった。
思わず振り返った私の顔を見て、私が全く理解していないことを九郎さんも察知したらしい。

 「だからだな……」

だから?

 「……あーくそっ!もういい!ほら、こっち乗れ!!」
 「えぇっ!?」

ちょっと、説明を放棄しないでよ!
結局、訳が分からないまま、気がつけば私は薄雪に乗っていた。
さっきはだめって言ったくせに、一体何がどうなってるの。
私が頭にはてなマークをいっぱい浮かべてたら、いつの間にか九郎さんも馬に乗っていた。


私の馬に……じゃなくて、薄雪に。


 「……あのー、九郎さん?」
 「なんだ」

すぐ後ろ、私の頭の上から彼の声がする。

 「これは一体どういうことなんでしょう」
 「は?」
 「いや、だから……あっちに馬が余ってますけど」

私の馬はいつの間にか元の場所に繋がれていて。
そう、今私たちは薄雪に2人乗り状態なのだ。
えっ、なんで!? あーもう、ドキドキしてきたじゃない!

 「先ほども言っただろう、お前の馬には乗らないって」
 「そ、そういえば、言ってましたね」

…………え、こういう意味だったの?

理解したら、急に体中がほてってきた。
ちょっと今日の気温上がりすぎなんじゃないの?と、お天気のせいにしてみる。

 「俺は最初からこうするつもりだったんだが……嫌か?」

ふるふるっと私は首を横に振る。もう振ることしかできない。

 「そうか」

そうしたら、九郎さんの嬉しそうな声が降ってきて。

 「言っておくが。弁慶には馬を貸しはするが、
  ここにこうして乗せるのは望美、お前だけだからな」



……みっ耳元で名前囁くなんて反則!
女性に不慣れなくせに、たまにサラっとそんなこと言うんだから。
これだから天然さんは侮れない。

もう恥ずかしくて嬉しくて幸せすぎて、しばらく声なんて出せそうにもなかったから、私はただこくんと頷いた。





夢浮橋プレイ記念というか、弁&景時の双璧EDがかなりツボったので(笑)
てか、馬の貸し借りとか五条め…!というところに九望を入れたら萌えかも!と思ってできた産物(どんな)
んで、この望美ちゃんはちゃんと1人で馬に乗れる設定で。うん…その設定で紅の月では残念な結果になりましたが(せっかくの九望シーンが台無し)
とにかく九望も五条も大好き!!
でも、五条が2人乗りとかは想像すると普通にキモイですね(微笑) (2009.6.21)



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