大人になっちゃダメ?


 「ガーイ♪」

ぴと

 「……」
 「……」
 「…………」
 「…………」
 「………………」
 「………………」

 「ああああああアニスっ!たっ頼むから離れてくれ〜っ!!」
 「うーん、まだ10秒しかもたないかぁ」

アニスはちっと舌打ちしつつも、大人しくガイから離れる。
音機関いじりに没頭していたガイに、アニスが後ろから抱き着いたのだ。
女性に触れられるようになったとはいえ、まだ突然のことには慣れないらしい。

 「でも、今回は10秒ももったのだから、かなりの進歩だわ」
 「そうですわね。ガイ、その調子ですわよ!」
 「だっ!2人ともっ!それ以上近寄らないでくれー!!」

さらに、一度女性を意識してしまうとしばらくはおさまらないらしく、ガイはガタガタ震えながら怯える始末。
この様子にティアとナタリアは苦笑するしかない。
2人のせっかくの褒め言葉も、こうなれば台なしである。





 「ガイの奴、すっかり女性陣のおもちゃだな」

少し離れた場所で、日記を書いていたルークは手を止め、ガイたちの方に目をやる。
すると、独り言に返事が返ってきた。

 「いやいやー、あれで本人は結構喜んでいるのでは?」
 「おわっ、ジェイド!(日記見られてないよな!?)」

今日も、気がつけばティアのことばかり書いていたので、ルークは慌てて日記を閉じる。
ジェイドに知られたら、ティア本人にバレる以上にまずいことになりそうだ。

 「いやぁ、ちょっと離れたところから見た方が面白そうでしたので」
 「だからって、気配消して俺の背後に立つなよ!」
 「おやぁ?何ですか、ルーク。あなたもあんな風に抱き着かれたいですか? ティアに」
 「ばっ、ちっげーよ!!てか、なんでティア限定なんだよ!!」
 「いやぁ、春ですねぇ」
 「人の話を聞けーっ!!」

ルークは顔を真っ赤にしながらも必死に反論しているが、そうすればそうするほど、ティアへの想いが周りにだだ漏れになっていることに彼は気付いていない。
しかし、ティア自身もそんなルークの想いに全く気づいていないため、仲間たちはヤキモキしているのである。



ぎゃいぎゃい騒いでるルークと大佐はほっといて。
アニスは視線を目の前のガイに戻す。
ようやく震えがおさまってきた彼に声をかけた。

 「まだ無理そうだね」
 「す、すまない」

アニスの荒療治にはからかいも含まれてはいるものの、やはりガイに恐怖症を克服させたいという純粋な気持ちも根底にはある。
ガイだって、それは分かっているのだ。
分かっているからこそ、いまだに克服できない自分がもどかしい。

 「べつにガイが謝ることじゃないでしょ?
  時間かかるかもしんないけどさ、このアニスちゃんが絶対治してあげちゃうもんね!」

腰に手をあて、エッヘン!と得意気な表情を見せるアニス。
そんな彼女を見ていると、本当に克服できそうな気がしてきて、ガイは思わず頬をゆるめた。

 「ありがとう、頼りにしてるよ」
 「えへへー、任せといて!」
 「でも正直なところ、アニスが一番適任かもしれないわね。
  私やナタリアもかなり近づけるようになったけれど、触れようとしたら、あなた絶対避けるもの」
 「そ、そうかい?」
 「確かに。ガイ、私たちでは何が不満ですの?」

さぁ、今すぐおっしゃって!と、真顔で詰め寄るナタリア、そして必死に逃げるガイ。

   「いっ、いやいや、不満とかそういう問題じゃなくてっ…!」

 

 「アニスが子供だからじゃねーの?」

と、突然ルークが口をはさんできた。
どうやら、ジェイドから逃げてきたらしい、手には日記とペンを持ったままだ。

 「え、なになにどーゆーこと?」
 「だって、お前ぺったんこだろ?
  女だってこと、ガイもあんまり意識しなくてすむんじゃ…ぎゃあああああああーーーっ!!」
 「テメェ、押し花にしてその日記の栞にでもしたろか、あぁん!?」

今ではお馴染み(?)となったアニスのドスの利いた声に、もうなってマス…と、ルークのなんとも弱々しい声が、いつの間にか巨大化したトクナガの下から聞こえてきた。

 「アニスちゃんだってねー、あと数年したら、ガイが思いっきり意識しちゃうくらいのナイスバディーになるんだからね!」
 「それは困る!」
 「…………ほえ?」

困るって何が?と、アニスはトクナガでルークを踏んづけたまま、きょとんと首をかしげた。
ガイが突然声を上げて否定したので、トクナガの下敷きになっているルークや、ティアとナタリアも頭にはてなマークをいっぱい浮かべている。
ジェイドだけが「これは面白いことになりそうですね」と言わんばかりの満面の笑み。
そんな仲間たちからの視線も気にせず、ガイは真顔で続けた。

 「もしそうだとしたら、アニスに触れられなくなるのは困るじゃないか」

 「…………え?」
 「ん?」

どういう意味?と思考が追い付かないアニスと、無意識のうちにスルッと出てきた言葉の意味を考え始めたガイ。
その後、2人はしばらく見つめあったまま固まっていたかと思うと、同時に顔を赤くしたのだった。


2人の春はもうすぐ?





はい、ガイアニでした。
てか、まだ2人とも無自覚な感じなので、ガイ+アニス?
ガイアニはあまりのマイナーさに今まで1人ひっそり萌えていたところ、まさかの同士様を発見しまして!
というわけで、モアちゃんに捧げます! (2011.7.11)



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