- sakura -

その日、いつもの3人は執務室でいつも通りに、いつも通りの雑務をこなしていた。
「…ねぇ、まだ終わらないの?」
筆をせこせこと進めながら張奎がぶつぶつと文句を言っている。
「5時には早いな」
たくさんの書簡を楊ゼンの机に運びながら燃燈が答える。
書簡によって前が遮られながらも、ぴたりと楊ゼンの机の前に止まる。
対して、教主である楊ゼンは頬杖をついて溜息をついている。
この所、彼はずっとこの調子のようだ。
彼の様子に呆れながら、 燃燈は出来るだけ静かに楊ゼンの机に書簡を置くと一番上の書簡を手に持つ。

ごつ

鈍い音がして楊ゼンが机に突っ伏した。
「……」
血をだらだらと流しながらゆっくりと起き上がる。
張奎はまたいつも通りの討論が始まるのかと呆れながら一人筆を進める。
しかし、張奎の予想に反して楊ゼンは反論しなかった。
布切れをだして、自分の血を拭くとまた頬杖をついて溜息をつき始めた。
「そろそろ禁断症状でも出始めるか?」
書簡についた血を拭いて呟く燃燈は、積み上げられた書簡の一つを手にとって自分の机に戻った。
「嵐の前の静けさ?」
「だろうな」
二人の掛け合いにも楊ゼンはなんの反応も示さない。
ただ何度も溜息をついているだけだった。

次の日、いつもの調子で仕事が行なわれている執務室の中に、一枚の花びらが
舞い込んだ。その花びらは、ひらりひらりと舞いながら昨日よりも書簡の数が倍
になっている楊ゼンの机上に落ちた。
「…花びら?」
机から飛び起きた楊ぜんは慌てて外の様子を見に窓に近づく。
外には見事な桜の木がこれまた見事な薄桃色の花をその枝に咲かせていた。
桜の木は蓬莱島に流れる川の両沿いに、見事な彩りを見せながら並んでいる。
「うっわぁ〜」
そのあまりに見事な景色にいつの間にか楊ゼンの隣に立っていた張奎が感嘆の声を上げた。
「早いな。もう桜が咲いたのか」
反対側に立っていた燃燈が二人と同様に満開の桜の行列に見惚れながら呟く。
「早い?どうしてそんな事わかるんですか?」
蓬莱島に仙人界ができてからそうは経っていない筈なのに、 桜の時期を口にだした燃燈に尋ねる。
「計画の間、此処には何度も調査に来ていたからな。幾度か見た事があるのだ。…しかしこんなに早い時期に咲いたのは初めてだろう」
桜に見とれる3人の後ろで、勢いよく扉が開かれた。
「ねぇねぇねぇ!お花見しましょうよ、お・は・な・み!!」
蝉玉だ。その右手にはしっかりと土行孫も握られている。
どうやらかなりの距離と階段昇りの間引きずられたらしく、血をどくどくと流しながらぐったりとしている。
「花見か、いいね。じゃあ皆でお花見といこうか」
「いいのか?あれよりも仕事が溜まっても」
蝉玉の提案に乗って答えた楊ゼンに、燃燈の突っ込みが入る。
「僕ならやれます」
楊ゼンは腰に手を当てて自信満々に答えた。
「言い切ったな。その言葉、二言はないぞ」
対して燃燈は楊ゼンを見下げながら腕を組んで言葉を返す。
「もちろんです。燃燈さまこそいいんですか、仕事溜まっているようですよ?」
「お前のようにただ目の前の仕事をこなすだけではないのでな。 しっかりと計画をたてた上で済ませている。一日分の遅れなどすぐに挽回できるくらいにな」
「結果だけを論ずるような方が計画ですか。どれほど曖昧なものなのか」
「…どうでもいいから早く準備しようよ。先に行くからね」
まだ言い争いを続ける二人に一言声をかけて、 張奎はさっさと花見の支度を取り掛かりに執務室を出た。
その後、楊ゼンと燃燈が準備の場所に現れたのはそれから1時間以上経った後、すでに準備の殆どが終わった後だったという。

準備が終わってまもなく、うっすらと雲が広がる、よく晴れた青い空の下で、 花見が盛大に始まった。
「お、うめぇ」
用意された料理をつつきながら、雷震子が嬉しそうな顔をして声をこぼす。
「僕が作った特製の卵焼きさ」
雲中子がにへらにへらと笑いながら、雷震子のこぼした声に答える。
その言葉に卵焼きを口に含んだ数人が一気に口内の卵焼きを吹きだした。
「うわっ!何してんのよあんた達!!」
それを見ていた蝉玉が叫ぶ。
「やべぇ!?水、水!!だれか解毒剤〜〜〜〜〜!」
「…というのは冗談だよ。まったくそんな反応返すなんて酷いなあ」
雲中子が顔に笑みを浮べたまま話す。
それこそ冗談なのか本当なのかわからない。
先程卵焼きを吹き出した数人が同じことを頭によぎらせていた。

そんな花見と言う名のバカ騒ぎの行なわれている中、楊ゼンはそっと席を外し、騒ぎの本拠地から少し離れた場所へ足を進める。
「…本当に、綺麗だな」
周りに舞う桜の花びらに感嘆の声を上げながら、ゆっくりとどこへ行くとも決まらぬ足を進める。

不意に、強い風が吹いた。

いくつもの桃色の花びらが、青い空を映す水のじゅうたんの上で舞い、 楊ゼンの目の前を薄い桃色で染めるかのように花びらが散り、周りの桜の木が大きな音を奏でる。
楊ゼンは一瞬閉じた目をゆっくりと開けると、目の前に広がったその光景に声を失った。
風が止み、楊ゼンの長く青い髪がその動きを落ち着かせる頃、また辺りに静けさが戻った。
いまだ空中で舞い続ける花びらの向こうで、楊ゼンの瞳に、一瞬小さな影が映る。
しかし、すぐに影は桜の木の陰に消えていった。
「!!」
楊ゼンは慌てて影の消えた桜の木に走り寄った。だが、いくら周りを見渡しても
先程見えた小さな影を見つけることはできなかった。
大きな桜の木の幹に、その手を沿えて、小さく溜息をついた。

ゆっくりと、暖かな春の風が流れる。
やさしく吹くその風は、花びらをふわりと空中に舞わせる。
楊ゼンは懐かしい気配を後ろに感じ、 青い髪をなびかせながら自分の後ろにあった桜の木を見上げた。
そして、その桜の木の枝に座り、小さく微笑んでいる小さな影を見つけ、そっと彼を呼んでやる。
「…太公望師叔…」
自分を呼ぶ声を聞いた彼は、声の持ち主の方向を向いて、また優しく微笑んだ。
「ほら、言った通りでしょう」
楊ゼンは自分に向けて微笑んだ彼に、同じ様に優しく微笑み返しながら話かける。
「そうだな、誰もが自然と集まった。この桜の下に、この桜に惹かれるように」
太公望はそっと花のついた枝に手をかけ、自分の下に優しく寄せた。
「あなたも同じでしょう」
太公望の座る桜の木の真下へと足を進め、彼にまた優しい笑みを向ける。
「そうじゃな」
「では、いきましょうか」
言いながら、楊ゼンは太公望に手を差し伸べるように片方の手を上にあげた。
太公望はふっと口元を綻ばせて、腰をおろしていた枝からふっと飛び降り、 差し伸べられた楊ゼンの手に自分の手を重ねながら柔らかく地面に着地する。
「あやつらは相変わらずか?」
「ええ、相も変わらず大騒ぎですよ」
短い会話を交わして、仲間たちの騒ぐ場所に二人連れ添うように戻った。

「太公望!!戻ってきたのかい!?」
既に宴会会場とかした花見場所で太公望と楊ゼンの姿を見つけた太乙が叫んだ。
「あいかわらずのバカ騒ぎだのう」
「君がいればもっとバカ騒ぎになるよ」
答えた太公望の腕を引っ張って太乙が皆の真ん中に連れ出す。
瞬時に彼らの輪に溶け込んだ彼に少し圧倒されながらも、 楊ゼンはふっと溜息をついて自分もその輪の中にはいっていった。

作り物の太陽がゆっくりと隠れ始めるころには、いつの間にか神界から訪れた神の面々もまざって、 ますますその規模を大きくした花見会場は、さらに大きな賑わいをみせていた。

「聞仲さんはもうギブアップかな?僕はまだまだいけるよ。ねぇ望ちゃん」
ふとしたきっかけで聞仲と酒の飲みあいを始めた普賢は、周りに幾つもの酒瓶を転がしても、 今だどこにも酔いの気配を見せない。
「お主の底はどこにあるのだ…」
一向に酔う気配のない友人と隣で顔を真っ青にしている聞仲を見比べて、 太公望は密かに聞仲に同情を送る。
太公望の隣に腰を降ろしていた楊ゼンもまた、聞仲と同じように顔を蒼くして横になっていた。
「二人とも酒に弱くはないだろうに…」
彼とだけは酒の飲み比べ勝負をしてはならない。そう改めて思った太公望だった。

美しい桜が舞い散る中で、かつての仙界大戦で争った者達も、 過去の争いが嘘であったかのようにその一時を楽しんでいる。

別の桜の下では十天君が普賢を抜いた十二仙とともに騒ぎが行なわれている。
幾度か燃燈のものらしき怒声も響いてくる。

また別の桜の木の下ではゆっくりと家族の時間を過ごすものもいた。
別の所で一味違った家族の時間の過ごし方を見せている親子もいたが。

まもなく、ライトアップされた桜の木の下が静かになる頃、 眠りについた幾人かを横目に、そっと太公望と楊ゼンは会場を後にした。

花見会場から少し離れた桜の木の下で、二人は細々と話し込んでいる。
最近の仙人界の事。神界の事。そこに住まう仙道や神々の事。
話の殆どは楊ゼンが一方的に話し掛けるものだった。
太公望は顔に笑みを浮べたまま、その話を静かにきいている。
話を終えてからまもなくして、楽しそうに語りかけていた楊ゼンの瞳にふっと悲しみの色が宿る。
「…また、どこかへ行ってしまうのですか」
「そうだな。わしはきっとそうしてしまうだろう」
悲哀に満ちた眼で自分に問い掛ける楊ゼンに、太公望は眼をそらして答えた。
「ここに居てください」
「できぬ」
「師叔、季節は巡ります。
春が来て、草木が生き生きとしてくると虫が目覚めます。
夏が来て暑くなれば、水が恋しくなります。蝉が鳴いて、緑が空に映えます。
秋がくれば木々に実りが訪れます。綺麗な紅葉が世を彩ります。
冬がくれば寒さに耐えられぬ動物や妖怪たちが眠り始め、 雪が辺りを埋め尽くせばそこに静かな空間が広がります。
そして、また春が来ます」
「…楊ゼン?」
「季節が巡る度に、季節を知らせる風を纏って貴方がここへ訪れる。 それが嫌だという訳ではありません。ただ、僕は貴方と感じていたいんです!
季節を感じるのではなく、季節の移り変わりを、貴方と一緒に感じていたい!!」
太公望の顔に自分の顔を近づけながら、必死に語りかける。
太公望は自分に必死の眼差しで訴えかける彼の顔を見つめたまま、静かに続けられる言葉を聞く。
「春の風が止み、少しずつ暑さが増し始めると、梅雨がやってきて、 草木は自然の恵みをその身に受けて、次の季節の用意をします」

桜が咲けば現れるあなた。夏には暑さをしのぐ為にまた現れる?

「夏が終われば苦しい暑さも和らいできて、段々と緑の葉は赤く染まり始めていきます。 木々の枝には、後に木の実となる小さなつぼみが生まれ始めます」

地球から、ここの自然を見に来る為にあなたは訪れるのでしょうか。

「秋が過ぎようとすれば、風は少しずつ冷たさを増し、 草木や生き物は次の春を待つ為に眠りにつく準備をします」

―――愛してくれなくてもいい。

「厳しい冬が過ぎ去る頃、冬の間に積もった雪は、少しずつ水としてその姿を変え、 草木や動物は春の訪れを迎えるためにもう一度目覚めます。 そして、新たな命も少しずつ生まれ育っていきます」

僕という存在を感じていてくれるだけでいい。

「そんな季節の変わり目を貴方と共に感じながら生きて行きたいのです。
一緒にいてくれるだけでいい。どう思ってくれてもいい」

貴方の存在を感じさせてくれるだけでいい。

「ただ僕の傍で、同じ季節を感じていてくれるだけでいい。
あなたの感じているこの場所で、この季節に、この空間に、僕を感じていて欲しい。
僕が貴方の存在を感じることができるように」

―――離れたくない。
不確かな約束で、会えないかも知れない時間を求める事で、貴方の存在を、 本当に感じる事なんてできない。

『離れていても、僕は貴方を感じています』

―――そんな美しい嘘。
幻想の混じった言葉で、幻想の貴方を感じていたくない。
そんな事をいう僕をあなたは嫌うかもしれない。

『弱い』と。

そう言われてもいい。
それでも僕は本当の貴方を感じていたい。

だから、傍にいて欲しい―――

次の日、先日の片付けを終えて再びいつもの時間が流れ始めた。
楊ゼンはたまりに溜まった書簡を片付ける為に、片付けを終えた後も続けて机に向かって仕事を行なっていた。
彼の傍に太公望の姿は見えない。
「…張奎君。燃燈様は?」
気になっている事柄を振り払うように筆を進めながら張奎に問い掛ける。
「頭痛・吐き気に体調不良。いわゆる二日酔い。『とても仕事できる状態じゃない』だってさ。今、部屋で公主が看病してるよ」
「そうか、ありがとう」
溜息を一つ。執務室の中ではいつも通り静かな時間が過ぎていく。
書簡の上を滑る筆は順調に進んでいるものの、楊ゼンの頭からは太公望の事が離れない。

夕方になって、ようやく二日酔いの治った燃燈が執務室にやってきた。
まだ多少頭痛が残っているようで、片手で頭を押さえている。
「もういいのか?」
張奎が声をかけると、燃燈は少し気だるそうに返事を返して席につき、机の上に溜まった書簡を片付け始めた。

その夜、仕事を終えた張奎が帰ってから数時間後。
再び気分が悪くなった燃燈は仕事を切り上げて部屋へ戻った。
執務室に1人になった楊ゼンの頭には余計に太公望の事が浮かんでくる。
「だめだ…集中できない」
コトンと筆を机の上に置いて思いっきり背伸びをする。
体の力を抜いて、溜息をつくと不意に眠気が襲ってきた。
その睡魔に誘われるままに楊ゼンは瞼を閉じる。

―――本当は 一緒にいたかった

声が、楊ゼンの頭に響く。何度も聞きなれた声。

―――"ヒトリ"は嫌だから

大切な、あの人の声。

―――そう。
楊ゼンに語りかけるように、声は響く。

―――"ダレ"だって "ヒトリ"でいる事は嫌なのだから―――

「望んでもいいのか」

楊ゼンの瞼がゆっくりと開かれる。確かに、その声は聞き違いではなかった。
「お主が望む事を、わしも同じようにを望んでもいいのか?」
頭を上にあげて、目の前の迫った愛しい人の顔を確認すると、優しく口を開いた。

「誰も、貴方を責める人などいませんよ」
不安が宿った瞳が見える。
「―――お主も、わしを感じていてくれるか?此処で―――」
自分を覗き込む、綺麗で、潤んだ緑色の瞳。ふわりとゆれる赤い髪の毛。
その瞳に答えるように、なだめるように、ゆっくり、優しく言葉を綴る。
「僕を感じていてくれる限り…貴方が、そう望むのならば。いつまででも」
そう語り掛けた。
彼は楊ゼンの言葉に優しい、満面の笑みを浮べた。
その笑顔を見た楊ゼンは彼に優しく微笑みを返し、自分の両手で彼の顔を自分の顔に近づけ、そっと唇を重ねた。

翌日、いつもの時間になり執務室に張奎と燃燈が顔を出した。
しかし、楊ゼンの姿は見えない。代わりに彼の机に座っていたのは…
「楊ゼンから伝言だぞ」
綺麗になった楊ゼンの机の上で頬杖をついていた太公望は、 おもむろに二人の目の前で一枚の紙切れを広げる。

『仕事が溜まっていますよ、僕は先に終わってしまったので今日はゆっくりとさせていただきますね。楊ゼンより』

紙切れにかかれた内容を読み上げると、太公望は紙切れを持ったまま歩き出した。
「一日で取り戻せる遅れかのう?」
すれ違い様に燃燈の手に紙切れを押し付け、彼の机に向けて目配せをする。
机上の様子を目にした燃燈は血の気を引かせてがっくりと肩を落とした。
そんな様子を横目で見た張奎は、はっとして自分の机の上を見る。
案の定、燃燈程とはいえないものの、楊ゼンから降りてきたであろう大量の書簡が机の上に積まれていた。
「張奎」
肩を落としたまま燃燈が張奎に声をかける。
「僕は嫌だからな。自分の仕事は自分で片付けろよ」
燃燈のいわんとした事を瞬時に理解して、あっさりと断りの言葉を放つ。
「……3日は徹夜か」
燃燈はぽつりと呟いて、静かに仕事についた。
「じゃあ僕は3日ぐらいかけてやるとしようかな」
嫌味と取れるであろう言葉を吐き捨てて、張奎も仕事に入った。
二人の様子を見届けて、太公望は部屋を去る。
そして、まっすぐ外に向かった。

つい先日、花見が行なわれた川辺で、太公望は半分ほど散りかけた桜の木の枝に座り楊ゼンと共に二人の時間を楽しんでいた。
「ねぇ師叔。今度暇なときにつくしを摘みに行きましょう」
大きな桜の木の枝に腰を降ろして、隣の桜の木に自分と同じ様に枝に腰をかけて
いる太公望に語りかける。
「つくしか、たくさんとって佃煮を作って…そうだ、それによもぎも摘みに行こう。すり鉢ですってよもぎ饅頭をつくるのだ」
「きれいな花畑があるのを知っていますか?そこにも行きましょう」
「蜂の巣から蜜を少々頂くというのもいいのう」
すでに太公望は楊ゼンの話を聞いてはいないようだ。
「花畑の中で美しい花と戯れる師叔…ああ考えただけでうっとりします」
楊ゼンもまた、成立しなくなり始めた会話に気付かず、自分の想像に浸っている。
「…相変わらず妙な想像をするやつだのう」
「師叔こそ相変わらず食べ物の事ばかりで」
互いに自分の事は棚上げにして相手をからかう。
「うっ…うるさいのう!!別にいいではないか!」
太公望は顔を赤くして抗議する。楊ゼンはくすくすと笑いながら枝から降りた。
「ねぇ師叔」
枝に腰を降ろしたままの太公望に声をかける。楊ゼンはゆっくりと深く深呼吸をした。
そして、太公望は静かに楊ゼンの言葉を待っている。

「このままずっと、一緒にいてくれますか?」

太公望はただ笑顔を浮べていた。
優しい微笑みを。
ただただ笑顔を浮べながら、楊ゼンの立っている地上に降りてただ一言告げた。

「さあのぅ。お主次第だ」

満面の笑みを浮べながら、楊ゼンの腕を取って桜の花が舞う道を歩き出した。

そしてまたいつもの日々が始まる。

いつもの日々に、二人の時間が加わって、

以前とは少し違う。新しく、懐かしい二人の季節が流れる。

-了-


長いです。適当にシーン作っていろいろやってたらかなり
長くなってしまいました。

力量不足で話がちと混乱してます(−−;
このお話、作成中に切ったシーンがいくつかあるんです。
いわゆる外伝という事でその他の所においてあります。

四季シリーズは一応これでシリアス終了。
…シリアスか?
夏はギャグです。ギャグのつもり…だったはずなのに。

そうそう。この小説の校正作業を凜さんに手伝ってもらったのですが
その最中に図解つきでおかしい所を指摘していただきました。
そしてその図解に色が塗られたのを強奪しました(笑)→こちらv

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