Story

紺青の海2

05/9/18

5

主人公  莵道遙(大学1年生) 

相手 男(名前はあるがまだ明らかでない)

 

しょぼしょぼと雨が降り始めた。

降り始めると止まない。

風呂の中からも鈍い雨音が聞こえた。

男は当たり前に、浴槽の中で遙を後ろ抱きにした。

遙一人ならじゅうぶんな広さだが、男二人にはいかにも狭い。

だが男は頓着せずに、遙を自分の上に座らせ、身を湯に沈めた。

ざっと湯が零れる。

 

向かい合わせに座らされなくて良かったと遙はほっとしていた。

浴室の明るい灯の下で、湯の中の肌は丸見えだ。

湯の中で揺らめいて見える肌は、当たり前の裸体よりも何故かもっとなまめかしい。

向い合わせで男の顔を見ていたら、恥ずかしさのあまり卒倒してしまうだろう。

男が遙の顔を仰のかせる。

遙の頬に舌を這わせ、そしてそれは唇に到達し、遙の唇を絡め取る。

男は口唇の愛撫が上手だった。

キスひとつで遙の身体中を熱くさせる。頭の中が何も考えられなくなるほど沸騰させられてしまう。

遙は必死に抵抗する。

「…き、気持ち悪くないんですか。…男に…、キスしたりして…」

身体は絡め取られていて、動けない。

「安とやるんやったら気持ち悪いけどな。遙やったら構へん」

男は平気で答える。

「そ、その線引きは…」

「お前はどうやね。男同士で気持ち悪ぅないのか」

「…」

「ワシにキスされて、とろけそうになってるやないか」

「そ、それは単に、反射的な…」

湯の中で、暴れようとする。

男は簡単に動きを封じる。

「反射的な反応か? これまでこんなええキスもええSEXもしたことなかったんちゃうか。自分の顔見てみ」

男は浴室の小さい鏡に遙の顔を向けさせた。

瞬間に目を瞑ろうとしたが、ちらと自分の顔が見えてしまった。

「赤ァなって、色づいとる。…男を待ってる女の顔や」

男の煽りに、遙は屈服した。

どんな快楽にもほとんど未開発だった遙は、受身の快楽がこれほど激しい陶酔をもたらすことを知らなかった。
相手に施すのではなく、ただ待っているだけで与えられ、確実に頂上に導かれる。

男に対して嫌悪や恐怖があるはずなのに、どうかするとそれが頭の片隅に押しやられ、男の手や唇で快楽がもたらされることを望んでいる。

相手は男なのに…。

「お前の年頃はそうなんや。気持ちのええことやったらどんなことでもええ。いくらオタクでも体の欲求には逆らえへん」

「オタク?」

無理に振り向いた途端、浴槽のお湯が飛沫を上げる。

「遙はオタクや。変な本いっぱい買うて」

「変な本じゃないです」

「黙れ」

男は指で攻撃を加えて、遙を黙らせにかかった。

胸の突起も股間も無防備のまま男に曝されている。男の好き放題にされる。

それがたまらないのだった。

開かれて、翻弄され、受け止める快感…。

「湯の中やと体がリラックスして自然と開くんや。体が弛緩する」

男の指が遙の後の門に苦もなくするりと入る。

「楽に入る」

「……」

小さく声を上げたつもりだったが、浴室で響いてしまう。

男が身じろぎする。笑っているような気がした。

 

「こ、ここで…」

「楽やぞ」

胸の突起を弄っている右手。

愛撫を続けながらいつの間にか、股間へ下りている。

扱かれて、勃ち上がる。

「ん…ん」

「足を…もっと開いてみ」

耳元で囁かれる。

男の両の手が、遙を捉えている。逃れられない。

「いやらしい恰好をしてるぞ」

男に見られていると思うと、よけいに浅ましいほど興奮する。

身体が熱に浮かされたように、痺れる。

男の指は、遙をずっと弄び続けていた。

「ああ、もう…、こんなこと…、…」

「遙?」

湯船の縁に、足を掛けさせられる。その拍子に、湯が溢れる。

「嫌だ…。いや…」

拒絶しているつもりが、まるで悶えているようにも思える。

男の手が熱心になる。

遙の首筋に、後ろから唇が吸い付けられる。

「ああ、いや…いやだ…」

頭も、身体も沸騰し始めていた。

混乱して、どんな姿勢をとらされているか、何を口走っているか、もう自分では分からないのだった。

「あっ…あっ…あ…。いやっ」

湯船の湯が、波打つ。

男の歯が、耳を噛む。

「まだ…、今からや」

男の囁きが聞こえた。

湯の中で浮きかける遙の腰を、男が引き寄せる。男の硬くなったものを後ろに感じ、男もすでに昂ぶっていることを知った。

 

遠のきそうな意識の中で、男に身体を預ける。

何もかも、男に委ねる。

確実に約束された悦びに登りつめるために…。

 

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