プリンセスコミックス
| イブの息子たち4 青池保子 秋田書店 昭和53年 2007/6/30 |
「イブの息子たち」の中では、ヒースが活躍するこの4冊目が最も好きだ。私も「ヒース、私も見て」派なのだ。
「イブの息子たち」を初めて見た時は、さすがにびっくりした。
少女漫画の華麗なテクニックでホモを描き、そしてそれをナンセンスなパロディで笑い飛ばすという発想が衝撃的だった。
すごいと思ったのは、当時のやおい(という言葉がまだなかったので、「女性による同性愛漫画」と言ったほうが良いかもしれない)をすらパロディの対象にしていた点。
そしてホモをパロディにしながらなおかつちゃんとホモ漫画でもあり、ジャンヌ・ダルクやヒトラーや、ヘンリー八世や諸葛孔明や、ありとあらゆる歴史上の人物までをおちょくりながら、物語が破綻することなく収まってしまう所もすごい。
青池保子は、この作品を書くまでは普通の少女漫画を書いていたと思うが、少女漫画家には珍しく、女性より男性を書く方を好んでいたようだ。
歴史に興味があるらしいことは「イブの息子たち」からも伺われる。それらが、「イブ」が成功して以降の漫画作品に反映されているのだろう。でも私が最も好きなのはナンセンスな「イブ」のみで、これ以降の作品は「エロイカより愛をこめて」を含めて、邪魔くさくてもう読んでいない。
一読して分かるように、作者はとても物知りで、何でも良く知っている。
この「イブの息子たち4」の最初に、"ばら1輪、1輪ほどのおぞましさ"というパロ詩が出て来るが、そこだけでもすごいと思った。
「4」が好きなのはクライマックスがアクション仕立てになっているからでもあって、それは三人組の中でアクション派力持ち、ヒースが主人公になっているからだろう。
ヒースが主役として活躍するのは意外と4だけなので、ヒース・ファンとしては貴重。
ヒース・イアソンはもちろんEL&P(エマーソン・レイク・アンド・パーマー)のキース・エマーソンをモデルにしたキャラクターでピアニストという設定だった。
「イブの息子たち」に相前後して書かれたらしい「エピタフ(墓碑銘)」という作品も同性愛を扱っており、注目すべき短編だ。
エピタフというタイトルは言うまでもなく、キング・クリムゾンの有名な曲から取られている(グレッグ・レイクがボーカル)。