日曜日のヒロイン
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2002.03.31付紙面より
第310回   渡辺真理 

渡辺真理

大人になった、真理ちゃん

 テレビ朝日「ニュースステーション」で、欠かせない存在感を見せている。渡辺真理キャスター(34)。今春で5年目、メーンの久米宏氏(57)のテンションを高める役割も巧みにこなす。TBSの局アナ時代は率直な発言から誤解も招いたが、いくつかの“潮時”を経験して、今では臨機応変の適応力も身に着けた。「真理ちゃん」から「真理さん」の変化が画面からも伝わってくる。

(写真=素顔のままに飾らずに質問に答えて行く渡辺真理さん。目も輝き、表情も生き生きとしていた)


師匠と弟子

 東京・六本木アークヒルズ西館13階。テレビ朝日の応接室で待った。窓から首都高速3号線を挟んで、20階建てのTBS本社が見える。以前にインタビューしたのは「モーニングEye」時代の約7年前、向こうに見えるビルの中だった。オウム事件を契機に同番組はなくなり、真理さんは「ニュース23」を経て、98年3月にTBSを退社。「ニュースステーション」(月〜金午後9時54分)に移ってから、今春で5年目を迎える。

 「早いですね、数えてもいませんでした。5年…そうですか。もっとニュースうまくなりたいです。読むのは難しいですね。読むことは必ずしも伝えることにならないけれど、普通に読むことも難しいです」。

 久々のインタビューの“雑談”を楽しむ間もなく、話題は早くもニュース番組の本論に入った。「取材した記者が文字にして原稿になったものを私たちが音にする。この過程を損なわないように読みたいけれど、それ以上に受け取られ方は無限にあって。読むトーンや緩急によってもかなり違う印象になりますよね、1つのニュースが。伝えることイコール伝わることじゃないですし」。

 いち視聴者として、低音の落ち着いた口調に安心感を抱いていたが、本人はそんな満足感もないようだ。「何でこんなに声がマイクにのりにくいんだろうとか、発音が悪いなーとめいるのは入社以来、変わらないですね。でも、その切り口で見せるかとか、面白い映像にしたなあなんて仲間と働く楽しさに毎日が過ぎていっていて。楽しいと実感できること自体、本当に幸せです」。

 久米氏も同じTBS出身。4年前のリニューアル会見では「僕は昔から評判の悪い人が好きなんです」と辛口のあいさつで会場を沸かせたこともあった。自由奔放な発言で賛否両論を巻き起こした真理さんに対する久米流のジョークだった。年齢がふた周り近く違うこともあり、関係は師匠と弟子のよう。真理さんはTBS時代に「ニュースも満足に読めないくせに」と陰口もたたかれたこともあった。想像以上に厳しい久米氏のスパルタ教育を経て現在があるのだろう。同氏への信頼感は高い。

 「あれだけ考えることが好きな、考えずにいられない方は初めてです。面白がってトコトン考えた揚げ句、ここまで考えない方が得策かも、ってことまで考えてるような。でもね、老成しないんです。いい意味で一丁あがりにならない、守りに入らないところが好きです。久米さんの立場だと、受ける風も激しいけれど、何はともあれ、まず明るくかつ楽しむ。生きていく根っこの部分で、私は何よりそこを久米さんから学び取りたいんです」。

 「ニュースステーション」の前には、TBS「ニュース23」で筑紫哲也氏(66)ともコンビを組んだ。日本を代表するニュースキャスター2人と仕事をしたことになる。

 「私がお2人について話すのはおこがましいですが、素朴な観察として聞き捨ててもらうと、久米さんはテレビ的、筑紫さんは新聞的なものを実践なさっているように見えました。例えばニュース23で以前、街頭インタビューを毎日放送してた時、特にトピックがなくて『もうすぐ夏休み、どうします』って緩いテーマの日があったんです。筑紫さんが珍しく『僕の予定話しても意味ないし』とやや戸惑われて。あれだけ論を張って理に訴える筑紫さんに対して、久米さんはどんなささいなどうでもいいことでも生の感覚で面白くするのにかけるというか。飲みに行くんだったらですか? おごってもらえるんだったら、どちらでもいいです(笑い)」。


嫌われっこ

渡辺真理  テレビ朝日の看板番組を支える存在となった真理さんはTBS時代、さまざまな経験をしてきた。久米氏が飛ばした「評判の悪い人」というジョークも、同局時代の話だ。

 入社2年目の91年、朝ワイド「モーニングEye」のキャスターに抜てきされた。社会問題も積極的に扱うなど、高視聴率を得て一世を風靡(ふうび)したワイドショーだった。そこでの真理さんは生き生きと自分の意見を主張し、プライベートの彼氏が番組で取り上げられると、堂々と“コメント”した。いい意味でとんがっていたキャラが、人気の秘密でもあった。

 「話したいとかコメントしたい欲求ってないんです特には。ぶっちゃけて言うと番組の性質上、放送時間を長く予算を低くするとスタジオトークが増えるわけで。それならそれで楽しんでもらいたくて、話せるギリギリまで話してました。でも23は23。今は今で違うから、聞くことが楽しい。不必要な口なら挟むだけ時間がもったいないし」。

 真理さんは、90年代の女子アナブームの主役だったが98年3月、TBSを退社した。97年9月で、担当する「ニュース23」第2部と「そこが知りたい」が打ち切りとなり、レギュラー番組はラジオ1本だけとなっていた。局内での自分の嫌われっこぶりを、女性誌に告白したこともあり、組織人らしくない自由奔放さが、TBS幹部に疎まれての退社とする解説がまことしやかに流れた。

 「嫌われっこ」。看板アナとして帯番組のほか数多くの番組を担当していたため、なかなかアナウンス部内の仕事ができなかった。そんな、やっかみも含んで批判されたのだ。「真理ちゃん」として人気を得た、TBSとしては最初のアイドルアナだっただけに、その風当たりも強かったのだろう。スパッとTBSを退社した。

 「小心なので、波風立てるの実は好きじゃないんです。会社が個人に対して期待する役割と自分の希望する方向とが微妙にずれていく時もあると思うんです。そのずれが決定的にならないうちに、身ひとつですっとどいた方がつらくないかなと。ただ、卒業や就職みたいに社会が決めてくれる節目と違って初めて自分で見つける潮時だったからドキドキもしました。でも今なんだとフッと自分だけふに落ちる時が来る確信もあって。後になって久米さんに『普通、番組続けられる時にフリーになるよ』って言われてそうかと。最小限、現場に迷惑かけないで済んだ分、私にしたら上できです。以前も今もかけまくってますから」。

 女子アナブームの先頭を走った真理さんに、雨宮塔子さん(31)進藤晶子さん(30)が続いた。看板アナでなければ分からない悩みもあるのだろう。2人は真理さんを慕い、その関係は今でも続いているが、3人とも絶頂期にTBSを退社した。当時は個人の生き方の選択というより、社風やシステムの方に問題があるとみられてしまった。

 「円満退社と自分では思ってます。今でもTBSは好きですし、多分ずっと好きで懐かしい場所です。でもね、たぶん。どちらにとっても新陳代謝は必要だと思うし、起こらないと。塔子ちゃんも進藤も、違うジャンルを勉強したり、違うところで面白いことに挑戦して、もしかしたらまたTBSに還元させてもらえるかもしれないですよね。今思うことを無視しない方が、今いる場所も大事にできると思うんです。きっとね、お互いの幸せな接点があるはずと思ってるんです。その幸せの接点が外れたら、また次の接点を見つけるためにも、離れてみる時があるだろうし。その潮時は全身で察知できるようにしていたいんです。そこに正直でないと、自分にとっても、囲んでくれてる周りに対しても、申し訳ない気がします」。


結婚

 TBSで8年、テレビ朝日で4年。12年間、走り続けてきただけに、プライベートな時間は、のんびり過ごすのが好きという。「使い物にならないくらい、ゆるゆると。散歩したりドライブしたり、気づいたら友達と4時間近くしゃべっていたり」。結婚については「人生の中で、最重要です。その割りにはびびるくらい無計画なんです(笑い)」。結婚間近と報じられたTBSの同僚もまだ独身だが「相手と自分以外すべて外野だくらい、わがままな潮時というかタイミングがくるかも。なんてワクワクしながら、気付いたら80歳になってたりして」。

 とんがっていた時代も人気だったが、落ち着いて言葉を選ぶようになった現在もまた魅力的だ。本人は意識はしてないが、自分なりの数々の経験を積んだ上での成長なのだろう。影響を受けた久米氏の演出によるキャラクター修正かもしれないが、ニュースキャスターとしての自負と自信は、真理さん本人の内からわき上がっているのを感じた。


カッコイイ!

 「ニュースステーション」で金曜日のスポーツコーナーを担当する女優真中瞳(22)の話 一言で言ってしまえば「カッコイイ女性」。どれだけ話しても足りないくらい奥が深い方だと思います。カワイイところ、おもしろいところ、鋭いところ…。全部がバランスよくあって、話していて「心地いい」といつも思います。私にとっては「姉のよう」な存在です。それに甘えてグチったり、相談したり。いつも話を聞いてもらって、アドバイスもらってます。そんな私を嫌がらず、相手して下さるのでかなり感謝しています。人としてこんなに「生きている」と感じられる人って意外に少ないと思います。面と向かって言うのは恥ずかしいので言ったことはないのですが、これからもずっと影響されていたい人だと思っています。


 ◆渡辺真理(わたなべ・まり) 1967年(昭和42年)6月27日、神奈川県生まれ。横浜雙葉高から国際基督教大教養学部卒業後の90年4月、TBSにアナウンサーとして入社。同年「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」のコーナー司会を務めた。以後「モーニングEye」「そこが知りたい」「ニュース23」などを担当。98年3月でTBSを退社。同年5月からテレビ朝日「ニュースステーション」のキャスター。趣味はよく食べて寝ることと、晴れた日の散歩。身長164センチ。血液型O。

 ◆真中瞳(まなか・ひとみ) 1979年(昭和54年)10月30日、大阪府生まれ。99年5月に日本テレビ「進ぬ!電波少年」のコーナー企画で核シェルター生活、同年10月から80日間世界1周のヒッチハイクに挑戦して人気者に。167センチ、血液型A。



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(取材・馬場龍彦、竹村章 カメラ・川口晴也)


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