Gift
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夜のマンションに帰る途中、繁華街を通る。夕暮れの町はもうネオンで飾られていた。なんとなく寂しくなった光は通りなれた道を早足で歩いた。 道路をはさんだおしゃれな商店街のある喫茶店から出てきたカップルらしき二人組を何も考えず横目で見やる。 見た事がある顔だった。反射的に、今度は意志を持って二人組を見る。 夜がいた。隣には自分より年上の女。べたべたとくっつく女に夜はいつもの無表情で歩いていた。 立ちつくす光の瞳には何も映らない。 驚愕も嫉妬も、悲しみすらもなく、ひたすらに無しかなかった。 そう。いつもの夜と同じ輝きのないモノ―――。 そのまま、光は夜のマンションに帰った。 ガチャガチャと鍵を開ける音が聞こえる。夜が帰ってきた。 既に日が暮れているのに、明かりを灯さないまま、光は一人冷え切った床で、身を縮めて座っていた。 ただいまも言わず、居間へやってくる。なぜかそれが光には腹立たしかった。そして、何も言わないと自分で決めていた言葉を無意識のうちに言う。トゲのある言い方で。 「あの人、だれ?」 答えは返ってこなかった。止まらない口からは次々と愚痴じみた言葉がこぼれ出る。 「私、見たよ。なんか仲良さげで。女いるならいるって言えば良いのに。良かったね、キレイなオネーサンで。」 眉をひそめて夜は黙ったまま夕食の用意をし始める。 理性が切れた光は破滅の言葉を言う。 「私は夜が好き!!夜が好きなの!!なのに夜は・・・私を見てくれないの・・・。」 沈黙が流れる。しまった、と思ったときにはもう遅い。 何か話そうと思うが、思考が追いついてこない。 「それで、俺にどうして欲しい?」 帰ってきたのはいつもの冷たい言葉。 「どうしてって・・・。」 「俺はお前の事なんてなんとも思ってない。」 肩の力が抜ける。いつのまにか息も止まっていたようだ。 深く息を吐いて、涙がこぼれた。自分でも気づかないうちにこんなにも好きになっていた。 しかし。 もう一緒にいられない。 そう思った直後、光は玄関に向かって走った。勢いよくドアをあけて、階段を駆け下りる。 空虚な心は痛みを伴い、光を襲う。 |