シービスケット


SEABISCUIT
03年 アメリカ映画 141分

一度や二度のつまずきは、誰にでもある

監督・製作・脚色:ゲイリー・ロス
製作:キャスリーン・ケネディ
    フランク・マーシャル
製作総指揮:トビー・マグワイア
音楽:ランディ・ニューマン
出演:トビー・マグワイア(ジョニー・“レッド”・ポラード)
    ジェフ・ブリッジス(チャールズ・ハワード)
    クリス・クーパー(トム・スミス)
    エリザベス・バンクス(マーセラ・ハワード)
    ゲイリー・スティーブンス
      (ジョージ・“アイスマン”・ウルフ)
    ウィリアム・H・メイシー
      (“ティック・トック”・マクグローリン)
    デビッド・マックロウ(ナレーション)
    キングストン・デュクール(サム)
    エディ・ジョーンズ(サミュエル・リドル)
    エド・ローター(チャールズ・ストラブ)
    マイケル・オニール(レッドの父)
    マイケル・アングラーノ(レッドの少年時代)
    アーニー・コーレイ(レッドの母)
    ヴァレリー・マハフィー(アニー・ハワード)






<あらすじ>
大恐慌時代のアメリカ。自動車の販売で大金持ちになったものの、息子を事故で失い、さらに妻にも出て行かれてしまった孤独な男チャールズ・ハワード。恐慌で一家離散の憂き目に遇ったジョッキー、ジョニー・“レッド”・ポラード。近代化の波により、故郷と仕事を失った元カウボーイのトム・スミス。
そんな孤独な男達が、ある一頭の小柄な競走馬をきっかけに出会い、そして家族のような絆で結ばれていく。その馬の名は“シービスケット”。競走馬としての天賦の才能を持ちながら、その気性の荒さゆえに多くの調教師から不評を買い、ほぼ見捨てられていたような存在だった。
だが、スミスやレッドの手で完璧な競走馬へと変身したシービスケットは連戦連勝の大活躍を見せ、その姿は困窮に苦しむ人々から“ヒーロー”として歓迎されるのだった。



<見た後の個人的感想>
座るトビー 一頭の競走馬“シービスケット”を中心に、ジョッキー、馬主、調教師の3人のドラマが綴られる、という映画です。
実話を元にした映画ですが、その脚本は、「実話を基に脚本化した」のではなく、「全米でベストセラーとなったノンフィクションの本を脚本化した」ものです。まあ、どっちもそんなに違いは無いと思いますが、原作が存在する話の方が大胆な脚色が出来ないような気がするんですよね。そんなわけで、原作物の映画にありがちな、「長いストーリーを2時間に無理にまとめている」というような印象がちょっと感じられました。
この、“シービスケット”にまつわるストーリーは、ほんとにドラマチックです。まさに映画的ドラマ的な話で、話を追って見てるだけでも面白いんですが、所々、展開が妙に早く感じたり、変にはしょられてるように感じる場面があったりするんです。
やはり、元々「人を感動させるドラマとして書かれた」ものではないせいか、「史実を追うのが優先」みたいな感じがあるんですよね。
ですが、この映画のテーマ、「人は失敗してもやり直せる」というのは、見終わってみると確かに感じられるものなので、全て計算ずくなのかもしれないですけどね。

私は競馬に興味は無いですし、馬自体にもあまり興味はありません。豚と同じ家畜カテゴリーの動物ですが、“家畜界のエリート”的な位置にいるので(食われもしないし)、ちょっと悔しい存在でもあったりします(笑)。
お馬に乗って走るトビー ですが、ストーリーには大変心惹かれるものがあったので映画館まで見に行ったわけですが、結局、レースシーンで燃えるは、馬のアップに萌えるはの大騒ぎでした。もちろん、実際に騒ぎはしませんでしたが、レースシーンでシービスケットが一着で入った瞬間は、本気でガッツポーズをしかかりました。それぐらい入れ込んで見入ってましたね。まあ、これで「明日から競馬をやろう!」とは思わないですけどね(笑)。
その、私が心惹かれたストーリーとは、「ドン底から這い上がる人のドラマ」であり、「セカンドチャン塔Xに懸ける人のドラマ」であり、「復活に懸ける人のドラマ」であるわけです。
主要キャラの内、これらのドラマを全て経験するのは、トビー・マグワイア演じるジョッキーのレッドですが、これが、レッドだけでなく、馬のシービスケットもそういう境遇を劇中でくぐり抜けていくんですよね。
それだけに、全てを乗り越えた二人が挑む最後のレース(劇中最後の、という意味で)はほんと感動的でしたね。

この映画、原作のノンフィクション小説を書いたのがこの映画の登場人物ではないという事で、“主人公”という立場の人物がいません。レッドもシービスケットも、この物語の主要登場人物(または馬物)の一人(または一頭)という扱いです。
映画が始まって最初に出て来るのはジェフ・ブリッジス演じるハワードですが、この人も主要登場人物の一人です。で、この人が金持ちのクセにいい人なんですよね。それも、スクリーンに登場すると安心感が感じられるぐらいです。
やはり、過去にいろいろ苦労があったせいなんでしょうかね。劇中、息子を事故で失ったり、妻に出て行かれたりといったドラマが描かれたりしますし、今の金持ちという地位も、“もとから”ではなく、一人で一から始めて築き上げた地位ですからね。

主要登場人物達とトビー さらに、ハワードだけでなく、この映画の登場人物は基本的にみんないい人ばかりなんですよね。この映画に凄く爽やかな印象があるのは、この点もかなり大きな理由だと思いますね。特に、レッドのライバルであり親友であるジョッキーのウルフの終盤の行動や言動には泣かされかけましたね。驚いたのは、このウルフを演じたゲイリー・スティーブンスという人、役者じゃなくて、現役のジョッキーなんだそうですね。演技の才能があったのか、それとも粗が出ないようにうまく撮ったのか、とにかく、演技派俳優に混じって演技していても違和感が全然ありませんでしたね。プログラムでこの事実を知るまで、この人は俳優だという事に全く疑問を持ってませんでしたからね。

レースの勝ち方について的確なアドバイスを送る調教師、クリス・クーパー演じるスミスもいいキャラクターでしたね。当然、この人も“いい人”です。足の骨折で処分されかかってる馬を買い取って助けてやるというエピソードが出て来る通りの、まさにナイス・ガイ。その時の「ケガしたからって、命あるものを殺すことはない」は名ゼリフでした。病気したからって、家畜を「処分」するのも間違ってると思います(関係無い話)。



<プログラム情報>
・定価600円。全26ページ。プログラムサイズ“普通”
・イントロダクション1ページ
・ストーリー2ページ
・解説5種類各1ページ
・トビー・マグワイア&ジェフ・ブリッジス&クリス・クーパー&エリザベス・バンクス&ゲイリー・ロスの紹介とプロフィール各1ページ
・ゲイリー・スティーブンスとウィリアム・H・メイシーの紹介とプロフィール各半ページ
・プロダクションノート2ページ
・ハワード・スミス・ポラード、そしてシービスケットそれぞれの足跡
(劇中ではなく、史実に基づいた年表)



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